小石川日乗Hatena版

おっさんがよしなしごとを書き散らします

映画『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』 を見て、気づいたこと

 1961年4月、アイヒマン裁判がテレビで連日中継されているのに、テレビ関係者も含め、あるいはイスラエル国内の人々さえ、最初はたいした関心を示さなかった。それよりも人々は進行するキューバ危機やガガーリンが乗るボストーク1号による世界初の有人宇宙飛行に目を奪われていた。
 むろん共に重要な出来事には違いないのだが、アイヒマン裁判への無関心は、裁判の前までは、ホロコーストの全貌がまだ世界に知られていなかったことも背景にある。裁判の過程でホロコーストの実態が明るみにされるにつれ、人々は関心を寄せるようになるが……。
 もう一つ、人類が抱く危機感についての時間感覚ということについても考えさせられる。過去の事件よりは、現在の危機やイベントに人々の関心は吸い寄せられる。直接の被害者や体験者でない限り、人々の忘却の速度は思っている以上に速いのだ。

 

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