野党5党が欠席した14日の参院予算委員会で、自民党の西田昌司氏は財務省を手厳しく批判した。西田氏は首相と親しいことで知られる。この日の自民、公明両党は追及の姿勢を演出する一方で、「首相や麻生氏が知らないうちに、官僚が改ざんした」という政府側のストーリーを後押しする姿勢に終始した。
麻生氏は改ざんについて「(財務省の)そんたくではない」と重ねて否定。西田氏は「念のため聞くが、書き換えを指示したことはもちろんないでしょうね」と念押ししてみせ、「むちゃくちゃになった官僚システムを立て直すのが、安倍内閣の仕事だ」と逆に首相らを持ち上げた。
背信・森友文書:来週にも証人喚問 やむなく「佐川カード」 政府「官僚の責任」強調 毎日新聞2018年3月15日 東京朝刊
こういうのを典型的な茶番というんやろね。西田議員は国会でいつもこんな茶坊主のようなことしかできない。
ネット上の自称保守主義者らも、おおかたこのすり替えの論理で難局を乗り切ろうとしている。なかには苦し紛れに「財務省解体!」なる珍妙なスローガンをアジる輩も出てきた。財務省解体って、そのトップにいる麻生の首をまずはハネるってことじゃないのか。
「首相や麻生氏が知らないうちに、官僚が改ざんした」というストーリーは、今後、産経や読売あるいはテレビのワイドショーなどでも繰り返し強調されることになるだろう。しかし、それが声高に叫ばれればされるほど、人々の疑念は増大していく。
そもそも、国有地売却の取引は「正常だった」と佐川は国会で証言し、それを安倍や麻生は諒としたのではないか。ところが実際は、背景に「特例的な」事情があった。その経緯を示す文書は「廃棄された」はずなのに、後から後から発掘されてくる。
土地取引自体が異常だった。その異常性を隠し続ける必要があって、決裁文書は改竄された。だからこそ、なぜこんな特殊な経緯で国有地は売却されなければならなかったのかが、あらためて問われているのだ。
たしかに近畿財務局の職員は、籠池らの脅しに近い交渉に屈したのかもしれない。しかし、それは籠池が怖かったからではなく、背景に鵺のように鎮座する安倍と昭恵の存在が怖かったからである。そもそも、交渉が終盤を迎えていた2016年3月時点で、昭恵は小学校の名誉校長だったのだから、それも当然である。
麻生がいうように忖度などという生やさしいものではない。昭恵とその夫・晋三の存在は明らかに財務局にとってプレッシャーであり、それは本省にも及んでいたのだ。
それでも、近畿財務局の担当者は必死でこの取引の経緯を詳細に書き残した。しかしそれから1年以上も経って、おそらく目を真っ赤に泣き腫らしながら、自らその経緯を削除せざるをえなかった。心ある公務員であればあるほど、そんなプライドをずたずたにされるような苦行、まさに「常識が壊される」事態に耐えられるはずもない。
日本の官僚システムを「むちゃくちゃに」したのは、一体誰なのか。答えはすでに明らかである。
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