3月17日未明、G7首脳による異例の緊急電話会議を終えカメラの前に立った安倍首相は、7月24日開幕予定の東京オリンピック・パラリンピックの開催について「人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証として、完全な形で実現することで主要7か国の支持を得た」と語った。
安倍首相の「完全な形で五輪開催」発言は“歌舞伎”?広がる東京オリ・パラ延期観測の舞台裏 - FNN.jpプライムオンライン
逆に言えば、コロナに勝てない状態が続いたら開催できない、「完全な形で実現」できなければ開催する意味がないということだろう。
そこで急きょ延期論が浮上してきた。
1年ほど延期すればコロナ禍は収束しているかもしれない。しかし、今度は他のメジャースポーツ大会の日程との調整が難しくなる。
東京五輪、延期への流れ止まらず 難題は日程調整 :日本経済新聞が延期の時期ごとのリスクを紹介している。
それによれば、
・2020年内開催
「代表に決まっているアスリートへの影響や各会場の再確保などによる負担は発生するが、比較的軽く抑えられる」 「だが、秋以降はフットボールのNFLやバスケットボールのNBAなど北米のプロスポーツのシーズンが始まり、巨額の放映権料を五輪に支払う米NBCは難色を示すという」 「NBAや欧州のサッカーリーグのスター選手の出場は絶望的になる。ゴルフやテニスもツアーがあり、時期によっては開幕が遅れた日本のプロ野球も影響を受ける」
・1年後の同時期開催
「21年夏は米オレゴン州で陸上、日本の福岡で水泳の世界選手権が予定されている。どちらも五輪の花形競技」
・2年後の同時期開催
「22年夏ならスケジュールに比較的余裕がある。ただ、2月に北京で冬季五輪、冬にはカタールでサッカーのワールドカップ(W杯)が開催される。夏季五輪が同じ年にくれば、国際サッカー連盟や北京五輪、24年パリ五輪のステークホルダーたちも大会の価値が下がると抵抗するだろう」
思い切って、陸上、バスケ、水泳、サッカー、野球、テニス、ゴルフなどいくつかの種目を外しての開催はどうか。サッカー以降はW杯やチャンピオンズリーグ、グランドスラムなど五輪以上に盛り上がる大会があるので、諦めがつく。ゴルフなんてもともと五輪競技じゃないし。
しかし、陸上、バスケ、水泳は外せないだろう。特に五輪の大スポンサーであるアメリカのテレビ局にとって、これらを外したら五輪中継の意味がない。
いずれにしても大会種目を縮小したうえでの開催は、安倍のいう「完全な形」にはならない。つまり完全を目指すなら、逆に延期はありえない。結局、安倍がまたまたバカな見栄をきったおかげで、東京五輪は中止しか選択肢はなくなってしまったということだ。