小石川日乗Hatena版

おっさんがよしなしごとを書き散らします

ハノイ紀行02 36通り

Untitled

 ハノイの旧市街には、小さな通りが交叉する「36通り」というエリアがある。ベトナムに初めての統一政権ができたのは、11世紀初めのこと。その李朝大越国の都に定められたのがハノイの旧市街だった。王への献上品を作らせるために、各地から職人たちが城下町に集められ、彼らは小さな通りに蝟集した。その名残が今でも残っていて、36の通りは、それぞれ「銀通り」とか「鶏通り」とか「竹通り」などと名前がついている。商人や職人たちが扱う商品名が通りの名前になったというわけだ。

 

 日本でも古い城下町には「大工町」「鍛冶町」など職業を冠した通りがエリアがあるのとよく似ている。

 

 例えば通称「ブリキ通り」には、ブリキ、アルミ、ステンレスなどでつくった調理道具や排気用のダクト、あるいは郵便受けなどを売る店が集まっている。つまりは「金物屋街」だ。よそから仕入れた商品もあるのだろうが、いくつかはその店が自分のところで製造もしている。まさに一軒のブリキ屋の軒下では、板金職人が朝から作りつづけていた何個目かの鍋を完成させているところだった。

 

 たいそう賑やかな一帯で、オートバイの騒音と共に、物売りたちの活気と生活臭が溢れる。街の中にはバックパッカー向けの安宿もあって、欧米からの観光客が多かった。土曜日の夜には衣類品主体のナイトマーケットが開かれる通りもある。そんな市場を冷やかしながら、ベトナム特有の路上飯を食べ歩くツアーもある。私たちは徒歩で通りのいくつかを歩き、さらに電動のミニバスに乗って36通りを巡った。



Untitled

 

 街並みは保存地区に指定されていて、むやみに取り壊しや建て替えができないという。建物の奥行きは意外と広く、一部は職人たちの作業場や住まいになっているようだ。

IMG 4729

▲金物屋通りの店先。



Untitled

▲よくわからんが、消火器みたいなものを売る店と、店番の犬たち。



Untitled

▲たぶん墓石にはめこんだり、位牌として使う「遺影」のプレートなんじゃないかと思う。こういう「位牌屋」さんがいくつも並ぶ一角もある。

//トップに戻るボタンの設定
//トップに戻るレンジの設定