小石川日乗Hatena版

おっさんがよしなしごとを書き散らします

小名浜「竹町通り」のこと

 いわき「日々の新聞」の安竜昌弘さんが企画した「イサジ式」のいわきライブ。それに併設する形で、かつて小名浜にあった「珈琲屋」というジャズ喫茶のオーナーを招いて、一日だけのコーヒーの味を再現するイベントをやったという。

 この「珈琲屋」については、友人たちとやっているMLに私はこう書いた。

 この「珈琲屋」という店については、安竜さんが「いわき日和」 に詳しく書かれていて、前に彼にお会いしたときも、「小名浜時代にこの店に通ってなかった?」と聞かれたことがあるんだけれど、私の記憶にはないんだよね。

「珈琲屋」が開店したのは1970年というから、私たちが高校に入った年のことだ。確かにジャズ喫茶には行くようになったが、私の記憶ではそれらはすべて平の店々だ。そもそも高校時代の、小名浜の商店街の記憶がほとんどない。あるのは街唯一の中型規模の書店と、いわゆるトルコ風呂街ぐらいかな。といってもトルコ風呂に通っていたわけではなく、そのど真ん中にあった友人(名前忘れた)の家によく遊びに行ってたのだが……。

 小名浜で映画ぐらいは観たろうとは思うのだが、それは小中学生までで、高校生ともなると映画を観るのももっぱら平の街だった。

「竹町通り」という地名もすっかり忘れていたのだが、同じく「いわき日和」の次の記事を読むと、うっすらと思い出す。友人を訪ねて通ったトルコ風呂街というのは、もしかしたら竹町通りのことではなかったか。安竜さんは次のように書く。

 いま小名浜では「竹町通り」が話題になっている。港の近くにイオンモール進出が決まり、港と町をつなぐために、この通りが整備されることになったのだ。イオンモールからタウンモールリスポまでの全長370m。数字にすればわずかな距離だが、地区民の意識は遠い。港と町はずっと別だった。 

 港と町の間には歓楽街が川のように横たわっている。スナック、バー、ソープランド…。そのあたりにはかつて、洋画専門の映画館が2軒あった。……

 「竹町通り」は幅員が4~6mの狭い道路だが、それを6m幅に統一してカラー舗装にする。道路を整備して新たなにぎわいが生まれれば、というのが行政の狙いで、住民たちの期待も大きい。はたしてうまくいくのだろうか。心配ではある。……

 「竹町通り」を歩いてみる。いまはほとんど何もない。せいぜいラーメンが評判の「味世屋」があるぐらいで、ひっそりとしている。かつては、この通り沿いの2階に「珈琲屋」というドリップコーヒー専門のジャズ喫茶があり、若者がたむろしていた。この店こそが小名浜文化の象徴だった。いまはその建物が壊され、空き地になっている。

「洋画専門の映画館が2軒」とあるが、金星座と銀星座のことだろうか。私の小学校時代の記憶では金か銀かどちらかが洋画館。そこで『ベンハー』を観た記憶は鮮明だ。だからきっと子供の頃に「竹町通り」そのものというより、その周辺を歩いたことはあったのだろう。小学生の兄弟を連れての映画鑑賞だから、母はきっとスナックやバーが蝟集する歓楽街は避けたのだと思うけれど。

 小名浜の映画館の話を調べていたら、こんなサイトに出会い、そこで井上ひさし元妻の西舘好子さんが、『小名浜ストーリー』という疎開時代の小名浜のことを書いた本があることを知った。Amazonの古本屋で注文したが、真砂図書館の蔵書にもそれはあった。

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