小石川日乗Hatena版

おっさんがよしなしごとを書き散らします

蓮実重彦

――通常こういう場ですと、受賞が決まった方に「おめでとうございます」という言葉を投げかけてから質問するのが通例なのですが、ためらってしまう。受賞について喜んでいらっしゃるんでしょうか。
「まったく喜んではおりません。はた迷惑なことだと思っています。80歳の人間にこのような賞を与えるという事態が起こってしまったことは、日本の文化にとって非常に嘆かわしいことだと思っております。もっともっと若い方、私は、順当であればいしいしんじさんがおとりになるべきだと思っていましたが、今回の作品が必ずしもそれにふさわしいものではないということで、選考委員の方がいわば、蓮實を選ぶという暴挙に出られたわけであり、その暴挙そのものは非常に迷惑な話であると思っています」

引用:「80歳の私に…はた迷惑」三島由紀夫賞の蓮實重彦さん:朝日新聞デジタル

 第29回三島由紀夫賞を受賞した蓮実重彦の記者会見の一問一答が、面白い。

――伯爵夫人と若い青年との出会いというのが、蓮實さんが読んだり映画でご覧になったものが知らずに来たのか。それとも最初に伯爵夫人のような女性が先に来たのか、あるいは青年が先に来たのでしょうか。  
「私を不機嫌にさせる限りの質問ですのでお答えしません」

 このように発話する御仁を相手では文芸記者も大変だ。逆に言えば、文芸担当の技量が問われるところでもある。

 ちなみに、今回の賞レースについて、亀山郁夫も候補に入っていることから「総長対決」などと、馬鹿な煽りをした新聞もあるけれど……バカだったね。

 

 

 

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