⇒ (インタビュー)福島の漁業再生 相馬双葉漁業協同組合富熊地区代表・石井宏和さん:朝日新聞デジタル:
「原発周辺の海は自分の地区に入るので、東電からサンプリング調査の採取の仕事を請け負っています。第一原発は海からだと本当にちっぽけに見えます。こんな小さな施設が世界を騒がせ、多くの人生を狂わせたのかと思うと、悲しい気持ちになります」
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風評被害は深刻だが、このインタビューで重要なのは、福島の漁業者らはたんに「安全・安心」を訴えているだけではないということだ。石井氏は福島の海産物に、国際機関の認証制度を適用して、新しいブランドをつくりたいという。「(洋上風力発電の)風車周辺の海域を海洋保護区にし、資源管理型漁業の先進地にすべきだ」とも考えている。たんなる復興ではなく、未来を先取りする漁協への転換をめざしているのだ。
記事には東京海洋大の濱田武士・准教授(『漁業と震災』の著者)のコメントもついている。氏は漁業者全体の結束で国や東電と賠償問題で対峙したことを評価しつつ、今後は「休業補償」ではなく「営業補償」に切り替えるべきと提言する。
とはいえ、買い控えは続くでしょう。風評が固定化する転機は2013年の参院選でした。原子力規制委員会で汚染水の海洋流出の疑いが指摘されたのに、東電が認めたのは投開票翌日でした。政治的な思惑が絡んでいると見られてしまった。輪をかけたのが五輪誘致の際の安倍晋三首相の「汚染水の影響は港内の範囲内にコントロールされている」発言です。希釈されて問題はない値なのに、その後「港湾外」への汚染水漏出が相次ぎ、不信が増した。「汚染水は漏れているが、外洋や魚への影響は出ていない」と発言していれば状況は違ったでしょう。
「福島の魚は安全だから食べてください」と国が言っても、政府や東電が誤解を招く行動をとってきたため、多くの消費者が信用しない状況ができてしまった。
とも述べている。
原発事故を矮小化し、復興をアピールする者のなかには、風評被害が収束しないのはあたかも反原発運動家らの策謀のごとく言い立てる輩もいるが、けっしてそんなことはないのだ。
50年以上前に水銀汚染が起きた水俣湾では、2種類の魚のモニタリング調査がいまだに実施されているという。
「検査」は、魚の安全を証明するために必要です。消費者の信用を得るまで時間はかかるでしょうが、地道な作業を根気よく続けるしかありません。
という濱田氏の言葉は、福島原発事故を日本の「公害」の歴史に重ね合わせながら考えているという意味でも重要だ。