小石川日乗Hatena版

おっさんがよしなしごとを書き散らします

「乙女寮」の女性たち

 NHK朝ドラ「ひよっこ」では主人公「谷田部みね子」(有村架純)らが集団就職で上京し、墨田区の向島電機で働きだしている。工場に隣接する「乙女寮」での生活も始まった。当時のことだから一人部屋などでは当然なく、6人の相部屋。昨日・今日の回では、みね子の仕事ぶりをめぐって、就寝前にパジャマ姿の「助川時子」(佐久間由衣)と「兼平豊子」(藤野涼子)が激しく議論する。みね子は寝たふりをしてそれを聞いている。

 同じラインに並ぶ工場労働者たちが互いの仕事ぶりを批判したり、反対に、誰かに憧れて目標にしたりするのはよくあることだろう。岡田惠和の脚本はそこに、それぞれがここで働く理由や、東京生活に賭ける夢を盛り込んで、けっして一律でも平板でもない、女工たちの多様な個性を浮き彫りにしている。

 「豊子」役の藤野涼子は、映画『ソロモンの偽証』のあの中学生ではないか。映画初出演なのに圧倒的な演技力で度肝を抜かれた。しばらく学業に専念かと思ったが、あれだけの逸材だ。引く手あまただったのだろう。「ひよっこ」でも物言いのはっきりした気の強い性格の子として描かれている。職場の優しい先輩「秋葉幸子」役の小島藤子、病弱だが可憐な「夏井優子」役の八木優希も、悪くないね。

 なにより注目したいのは、「時子」役の佐久間由衣だ。モデル出身でドラマは3本目。「奥茨城村」の高校生を演じるころはどうなるんかなあと少し心配だったが、東京に出てきて根性が座ったようだ(笑)。

「青森のころはあんたイライラしてたんでしょ。自分は他の人とは違うって。でも、そんなことはもういいんだよ。もうここは東京なんだよ!」──「豊子」に切る啖呵は清々しいまでである。

 身長172センチの大型美人というか美少女。とろんとしたまなざしから、キリっとした眼光まで、意外と幅広く演技ができる人ではなかろうか。これからの成長に大いに期待したい。

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