小石川日乗Hatena版

おっさんがよしなしごとを書き散らします

今朝の東京新聞から

 東京新聞はデジタル版で読んでいるのだが、今朝の紙面はけっこう読み応えがあった。しかも、図版を多用して記事内容をわかりやすく補足している。

 

 1面トップはトランプの入国禁止令についてだが、添付の図ではアメリカ内外の司法担当者や政治指導者、企業経営者の反応を整理し、それに加えて、わが国の宰相の答弁「その国の判断」(だもん、コメントしません)を並べている。安倍のまぬけ顔がいい味だしている。

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 3面の解説記事では、保守派に牛耳られようとしている米最高裁や議会の現状を伝えたうえで、大統領令の「撤廃の見通しは厳しい」としている。逆に、アメリカの大統領令の威力がいかに強大なものであるかがわかる記事だ。

 

 7面にはトランプが大統領就任式の2日前に「Keep America Great」という標語を商標登録申請していたというワシントン・時事電のコラム。4年後の再選を見据えての動きというが、私はこの手の政治標語までもが、商標登録の対象になるというお国柄、いや、トランプのビジネス感覚にもっと驚いた。

 

 ちょっと調べたところ、日本では企業・団体のキャッチフレーズやスローガンは一般的には商標登録ができないが、「自分と他人との商品・役務を区別できる部分を有する場合」は登録が可能だ。実際、いくつかの企業のキャッチフレーズが登録されている。例えば「ファイト・一発!」は清涼飲料等という指定商品について大正製薬が商標をもつ。

 

 政党名やシンボルマークも商標登録ができ、民主党や公明党、新党日本が登録している。しかし、自民党、社民党、共産党など登録商標をしていない政党もある(http://www.syohyo-jp.com/mame/political_party.html)。選挙キャンペーンのスローガンの商標登録については、どうも前例がないみたいだ。

 

 さて、紙面に戻ると、9面にはカナダ・ケベックシティーのモスク銃撃事件の容疑者が、トランプやルペンに傾倒していた可能性があるという、ニューヨーク特派員電の記事。これが事実だとすれば、まさにトランプの登場を待っていたかのような宗教テロではないか。

 

 同面では「入国禁止 欧州なぜ批判?」という解説コラムも。1951年に採択された「難民の地位に関する条約」が第二次世界大戦の経験を踏まえたものであり、米国も締結国の一つであるのだから、大統領令はこの国際法に違反する可能性があると指摘している。

 

 ちなみに、同面の左隅に掲載された「ワレサ氏の疑惑再燃」というAFP=時事電も興味を惹いた。ポーランドの元大統領というより、「連帯」運動の指導者としての印象が強いレフ・ワレサ氏が共産党政権下の秘密警察のスパイだった疑いが出てきたというのだ。これにはびっくり。映画『鉄の男』を撮り、昨年亡くなったアンジェイ・ワイダも草葉の陰で嘆いているに違いない。

 

 26-27面の「こちら特報部」。埼玉・蓮田の映画イベントで監督の受賞歴を記す際に、「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭グランプリ受賞」の部分が、監督本人が納得しないままに削除されていたという話。イベントプロデューサーが「そのような文言は子供によくないという意見が出ている」と、なにものかへの忖度をした結果の削除だったという。LGBTの市民権獲得はいまだ道半ば。空気を読んで自主規制する雰囲気は、こんなところにも蔓延している。

 

 特報欄のメイン記事では、トランプの入国禁止令についての反応を国内のイスラム教徒に取材し、同時に日本の難民認定基準を俎上に上げて、その狭量さを浮き彫りにしている。全国難民弁護団連絡会議の渡辺彰悟代表世話人(弁護士)のコメントを引用しておこう。

 

日本の難民対策はすでにトランプ方式だ。日本はトランプ氏を批判できる立場にない。『おまえが言うな』と怒られるだろう。……(日本の認定基準は)トランプ氏のような差別的な理由を挙げていないだけで、今の日本はトランプ氏が目指す姿だ」

 痛烈すぎる指摘ではある。
 

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