一方、技術会議の委員だった川田誠一・産業技術大学院大学学長は「地下も盛り土がされたと思っていた。実は空洞だと聞き、びっくりした」と話した。委員だった長谷川猛・都環境公社非常勤理事は「地下空間の利用なんて都は会議で詳しく言っていない。技術会議で承認していないと思う」と指摘。
引用:東京新聞:豊洲市場 都、08年に地下空間案 盛り土提言を受けた直後:社会(TOKYO Web)
豊洲市場移転問題、コンクリートの下の謎の空洞が明るみになって、いよいよ百鬼夜行、魑魅魍魎の世界になってきた。
上記、東京新聞の記事によれば、土壌汚染対を検討する「専門家会議」は2008年7月に「敷地全体を盛り土するように都に提言」し、「有害物質が建物内に入るおそれがあるため、地下施設は造らない方がいい」と指摘していた。
ところが翌月に開かれた「技術会議」で、都はあっさりと専門家会議の提言を否定。地下空間建設にこだわり、結局、「都は建物の下に浄化作業ができる空間を確保する案を設計に反映した」。この間、最初の専門家会議は解散。自分たちの提言が技術会議で覆されたのに、それを問題視することもなく、会議出席の報酬だけ懐に入れてトンズラしたわけだ。とんだ「専門家」たちである。
さらに魑魅魍魎なのが、上に引用した技術会議の面々のコメント。「てっきり盛り土されていると思っていた」「地下空間の利用なんて都は会議で言っていない」といまさらながらの責任逃れ。自分たちの議論がどのように設計に反映され、実際、どのように施工されたのかを確認することには、全く関心がなかったようだ。こちらの会議出席報酬はおいくらだったのかねえ。
都の職員が、専門家会議や技術会議の議論を無視して、勝手に設計を変更したのだとすれば、専門家や有識者を集めて会議をする意味などまったくなかったのではないか。たんなるアリバイ工作に使われただけではないのか。
むろん問題の元凶は都庁にあるわけだが、日本の土木技術の専門家とやらの知的退廃も、それ以上に深刻だ。