演出家の蜷川幸雄氏(享年80歳)が昨日亡くなった。子供の頃観ていた、テレビドラマのちょい役の役者のころからその名前は知っている。いつのころから演出家に転じ、またたくまに「世界のニナガワ」になってしまった。
蜷川演出の舞台を実際に見たことがないので、その芝居についてはあれこれ言えないのだが、すごい人だったんだろうな、とは想像できる。
メディアは一斉にその死を報じ、蜷川マジックで演技を開眼させた俳優たちのコメントを集めている。
例えば、朝日新聞は、
悲報を受け、俳優や演出家たちから哀悼の言葉が相次いだ。大竹しのぶさん、宮沢りえさん、狂言師の野村萬斎さん、阿部寛さん……。みな蜷川さんから膨大な演劇の力を吸収した俳優らだ。
引用:俳優や演出家から、哀悼の言葉 蜷川幸雄さん死去:朝日新聞デジタル
この報道は順当だと思う。
ところが、この日、飲み屋さんでみたテレビでは、いきなりジャニーズ系の「亀梨和也」のコメントが、他の俳優を差し置いて真っ先に登場したので、あらためてテレビ局の「ジャニーズシフト」を思い浮かべたのである。
たしかに蜷川は「アイドル」俳優を多数起用したけれども、社会通念的に考えて「亀梨」が追悼コメントのトップってことはありえないだろう。
死んでしまえばなんでもOK。よく知らない人にとっては、アイドルを演出したおじさんというぐらいなところで、評価が定まってしまうのかもしれない。それは無惨以外の何ものでもない。