小石川日乗Hatena版

おっさんがよしなしごとを書き散らします

スウェーデンにも極右の影

 2015/10/25付の東京新聞朝刊・外報面が、10/22にスウェーデン南西部の小さな町で起きた、移民排斥のナチス信奉者による中学校襲撃事件を伝えている。人口5万人の街で昨年中に受け入れただけでも移民は3,000人を越える。多様な社会の形成とグローバルな視点での人権擁護を唱えるスウェーデンの難民政策を象徴するような町だが、その国でも反移民政党への支持や反移民テロが増加しているという。その下には、ポーランドの総選挙で右派野党優勢か、という観測記事。いずれも、ヨーロッパにおける極右の台頭を伝えている。


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 難民受け入れ政策が先進国で最低レベルという日本も、その政策の維持・強化を求めるように、レイシストの動きが目立つ。Facebookに掲げられた「そうだ難民をしよう!」とシリア難民を誹謗中傷するイラストなどもその一例だ。この自称・女性イラストレーターは、その「作品」を「ホワイト・プロパカンダ」と位置づけている。そんな言葉はないが、おそらく中国、韓国の報道・宣伝をすべて政治的プロパカンダとみなし、それに対抗するための表現というぐらいの意味だろう。

 私はその悪意満々のイラストを見たとき、難民の子どもに足をかけて転ばせ、蹴りを入れたハンガリーの極右メディアの女性カメラマンのことを想起した。女性は主義主張を越えて哀れな子どもを守るもの、というのはただの幻想にすぎない。

 ちなみに作者にとっては、シリア難民はただのダシにすぎないのだろう。狙いは中国・韓国、そして在日アジア人。それへの剥き出しの差別がイラストのテーマであることは明白だ。

 日本では“在日特権”を捏造する排外主義者らが、すでに襲撃事件(彼らは抗議行動というが)をたびたび起こしている。人を殺すか殺さないかは大きな違いだが、また同時に、その境界はそんなに高くない。スウェーデンでそうなら、日本はもっと。私はそれを本気で恐れる。

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