小石川日乗Hatena版

おっさんがよしなしごとを書き散らします

【ランチ】神保町オオドリーのスープカレー

 どういう謂われか、「鴻」と書いて「オオドリー」と読ませる。神保町すずらん通りのドトールのある角を内堀側に折れたところ。以前からバー・居酒屋としての認識はあったし、たしか夜に一度行ったことがあるのだが、いつごろからか(いや最初からそうだったかもしれない)、ランチタイムはスープカレー専門店としての営業である。


 古い商店を改装したのだろう、外の引き戸を開けると、半間四方ほどの小さなたたきがあって、そこに靴を脱ぐことになっている。内側のガラス戸を開けると6席ほどのバー・カウンター。奥手にキッチン。2階もある。いまどき一風変わったエントランス体験だ。


IMG 1904

 スープはこくのある「黒」と、スパイシーな「赤」があるそうで、具材も、野菜、骨付き/骨なしチキン、ハンバーグ、しゃぶしゃぶ豚などから選べる。辛さは標準から7倍ぐらいまで。「標準でも辛め」だと店の女性が言うので、それにした。辛さが増すにつれて「(辛いので店は)責任をもてません」とメニューに書いてある。一種のユーモアだ。


 今回は「黒スープの骨付きチキン・辛さ標準」(税込1,000円)を頼んだ。カレーとスープをそれぞれ盛ったティアドロップ型の大きめの器が塗りのお盆に載って出てくる。意外な取り合わせが面白い。チキンはよく煮込んであり、骨までほろほろ。じゃがいも、にんじん、ピーマン、半切りのゆで卵が、赤黒いスープに半身をさらしながら浮かんでいる。


 スープの温度がそれほど熱くなかったのが意外といえば意外だった。スープカレーってもっと熱いのかと思っていた。だが、ご飯にかけたりせず、スープだけ飲む場合もあるわけで、これぐらいの温度がちょうどいいのかもしれない。辛さを抑えたせいもあって、味に強烈なインパクトはない。だが、店を出るころには複雑なスパイスが口中に広がる。カレー空間から日常生活に戻った後も、香りが尾を引き、しばらくの間ゆわゆわと鼻孔に匂い立つというのが、通常のカレーであれ、スープカレーであれ、カレーの美味さの最低条件だと私は考えている。その意味では十分、私のカレー観を満足させてくれたひと皿ではあった。


 夏こそカレー、の醍醐味ひとつ、神保町

//トップに戻るボタンの設定
//トップに戻るレンジの設定