⇒ 民意「NO」で政権一転 新国立競技場、振り出しに:朝日新聞デジタル:
巨額の総工費に世論の批判が高まっていた新国立競技場の建設問題をめぐり、計画見直しに慎重だった安倍政権が17日、一転して現行計画の白紙撤回を宣言した。政権は安倍晋三首相による周到な「政治決断」を強調するが、世論に押された泥縄的な対応は否めない。「国民の祭典」に向けた主会場の設定は一気に振り出しに戻り、先行きはなお見えないままだ。
このかんのドタバタ劇で最高に嘲笑えたのは森喜朗のこの発言。
「僕はもともと、あのスタジアムは嫌だった。生ガキみたいだ」
森ってよほど生ガキが嫌いなんだ。再び幻の建築と化したザハ案は、後世人々に「ああ、あの生ガキ」として伝えられ、やがて忘れられていくだろう。それにしても、この期に及んでこういうガキみたいなことを公の場で発言する人が、「東京五輪・パラリンピック組織委員会会長」というのだから……呆れ果てる。
他人ごとながらいくつか懸念事項があった。それに上記記事は答えている。
- ザハ・ハディドは面目丸つぶれ?
日本スポーツ振興センター(JSC)は今後、ハディド氏との契約解除手続きに入る。すでに支払った約17億円は「出来高払い」として返還を求めない方針だが、逆に損害賠償を求められる可能性があるという。
- IOCは暴れないの?
国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ副会長は「決断は実現可能な解決策を模索するもので、大会に影響を及ぼすものではないと理解している」とし、デザイン変更を公約違反とは捉えていない。
- これからコンペ開くの?
「国際コンペを再び開く時間的余裕はない」(政府関係者)が、世界貿易機関(WTO)の政府調達協定の関係で、外国企業も参加できる国際的な競争にする必要があるという。
国際コンペはやらないが、国際競争入札はやるってこと? わかりにくい...。
- 再計画を誰にやらせるの?
下村文科相は17日、新たな計画を進めるのは「文科省とJSCが中心」と述べた。しかし、総工費が膨らんでも有効な策を打ち出せなかった両者の力量不足が、ここまでの混乱を招いたともいえる。JSCのある職員は、「国民の皆様に申し訳ない。悔しく、悲しい。同じ人間がもう一度やるのは道義的にどうなのかと思う」。
JSCの職員は他人事みたいにいっているけど、誰だって「どうかと思う」よ。
一昨年の秋、とある仕事でJSC広報の案内で旧国立競技場をまじまじと見学したことがある。聖火台に初めて触った。誰もいない芝生ではあったが、そこに落とされたアスリートの汗や涙が想像できるようだった。
建築は、その形状ではなく、そこで行われたことの記憶と共に人々に刻みつけられる。「そこで行われたこと」とは建ってしまった後のことがほとんどだが、この東京オリンピックスタジアムばかりは、建立以前の一幕の喜劇とともに記憶されなければならない。