土曜のランチは久しぶりに「グランルート66」のカレーである。
都営地下鉄「千石」駅のそば。白山通りに面してはいるが、小さな店なので近所に住む人でもかなり気をつけていないと、知らないかもしれない。私は、自転車散歩の途中がてらに偶然知ったのだが、最近はこの店目当てに自転車を飛ばす。
香り豊かな欧風カレーと、甘さを抑えた大人のチーズケーキが、見事に調和する。カレーはもちろん美味いが、ケーキも侮れない。てっきり奥さんのほうがケーキ担当かと思ったら、カレーをつくるご主人が、ケーキも焼いているのだという。
店名「GrandRoute66」の由来については店内に掲示してある。BGMはたいてい60'sのアメリカンポップス。今日もアニマルズの「朝日のあたる家」を聴きながら、一日限定12食(というわりには、売り切れだったためしがない)「ウイーン風カツカレー with レアチーズケーキ&コーヒー」のセットをいただいた。アメリカ文化とカレーとチーズケーキは一見、ちぐはぐな取り合わせだが、街の古老に聞くところによるとかつては喫茶店だったとか。ちなみに、カツにかかるソースはウースター系だが、酸味が市販のものより少しキツいのできっと自家製だろう。
ご主人はニコニコしていて愛想はいいがあまり口をきかない。奥さんのほうとは少し会話をするようになった。「今日は風が強いから、自転車大変でしょ」「いや、帰りは楽ですよ」。帰りは下り勾配なので楽だ、というつもりだったが、話がかみ合っていない。ま、いいか。
小雨のなか自転車で帰る途中も、しばらく口中にスパイスの香が漂う。このえもいわれぬ食後感ががいつもの楽しみだ。