東京新聞2015/07/06朝刊特報面の連載コラム「小川勝の直言タックル」で、スポーツライターの小川勝氏が、新国立競技場の経緯や問題点に触れている。
森喜朗会長は「(五輪は)東京都がやりたいと言った。東京都が場所を用意するのは当たり前のこと」と語っている。だが、この論理はちょっとおかしい。
なぜなら、新国立競技場は東京五輪のために建設が決まった事業ではないからだ。
小川氏によれば建て替え気運が高まったのは、2019年のラグビーW杯の招致決定がきっかけ。森が最高顧問を務める日本大会成功議連が2011年に建て替え推進決議を行ったことが発端だ。東京五輪の招致決定は2013年。つまりラグビーW杯がまずありきだったのだ。
こうした歴史的経緯をうっかり忘れるところだった。森の本音は五輪にかこつけて、ラグビーW杯を成功させたいだけなんじゃないか。そのために都からなんとしても500億円を引き出したいのだ。政治家の「当たり前」という言葉にはたいてい裏の思惑がある。
そもそも都から引っ張ってこようという500億円は、北京五輪の「鳥の巣」の総工費とほぼ同じ額。それに比べ新国立の2520億円がいかにバブリーなお値段かがわかる。
なぜ新国立競技場には東京都が五百億円を出さなければならないのか。現行案が都民から支持されているなら検討の余地もあるかもしれないが、とてもそうは思えない。桝添要一知事は、現行案を支持する都民がどれだけいるのか調査してみるべきではないだろうか
と小川氏は述べているが、同意である。
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