以前、東上野にあった創作中華の店「富貴花」(フーグゥイファー)。知人に誘われ二度ほど訪れたことがある。ディナーは鶴見英雄シェフのお任せコースのみ。メディア的にそう有名でも行列が並ぶ店でもないが、ひと品ひと品が、素材の目利きから、味付け、盛り付けにいたるまで丁寧で、高品質のヌーベル・シノワーズという印象をもった。厨房からシェフが、中華料理の哲学というか考え方を解説してくれるのも楽しかった。
シェフは重病に倒れていちど店を閉めたが、昨年終わり頃から現役復帰。最近は知人の店、銀座の「魚牛」を借りて、月に一度、日曜日昼に限定客向けのコース・ランチをふるまうようになった。(上写真は、ハチノスと香菜、茄子の胡麻和え、砂肝、ツブ貝などの前菜盛り合わせ)
私はこの日曜ランチの会は今日が二度目の参加。今回はなんと前菜から最後の鮮果に至るまで、総勢26品の「全席料理」である。これを助手なしで一人でつくる。さながら3時間(仕入、仕込みも入れればさらに相当な時間がかかっているが)の中華料理パフォーマンスショー。最初は盛り付けも美しかったが、20番目ぐらいになると気にしておれずか、ざっくり盛り。ただ、シェフの料理にこめたエネルギーは全速力で快復しているという印象を受けた。はたして薬膳の力だろうか。
食べきれないものはテイクアウトにしてもらったが、いずれもしっかり美味しかった。シェフの再起動のパワーを頒けていただいた気がした。このランチ会、来月もあるようだが、予定がぶつかって参加できそうにないのが残念だ。
羊肉を花韮のソースなどでからめた一品ワタリガニの豆豉炒め