青年局長の1年間役職停止と発言議員への厳重注意という軽い党内処分で幕を引こうとする自民党。権力をもつ政党は、いつの時代、どこの国でもメディアを規制したがる。それは裏返せば、メディアが一定の権力監視機関になっている証拠でもあるのだが……。
近年の自民党は規制体質が当たり前のことのようになってしまった。そもそも「安倍ユーゲント」らが多数のメディアを招いての勉強会発足のイベントでこうした発言をしてしまうのは、たんに「不注意」というものではなく、「フューラー」の体質を受け継いでいるからだ。総統の思いを忖度し、先走って実践するのが、ユーゲントの最たる任務だからである。彼らの本音の発言はけっしてひそひそ話を「盗み聞き」されたわけではなく、マイクを通じて党本部内に朗々と轟きわたっていたのである。
今回の問題は、NHK ETV特集「「問われる戦時性暴力」の番組改変問題(2001年)で顕在化し、その後、「慰安婦」「福島原発吉田調書」報道における一連の朝日新聞バッシングへつながっていった、安倍およびその周辺のメディア攻撃の流れの、さらなるうねりとして理解する必要がある。
これまでの「言論戦」でNHKと朝日を抑え込むことに成功したので、次は、まつろわぬ民放地上波や地方紙を兵糧攻めにしようと思い立ったのだろう。あまりに安直で下品な方法ではあるが……。
そもそも沖縄の二紙を「つぶせ」とわめきながら、会合の参加者らは百田尚樹も含めて二紙をちゃんと読んでいるフシがない。「鬼木誠」という議員などは、東京新聞の取材に「沖縄の二紙がひどいとは思う」と話しながら、「実際に読んで検証していないので、あくまでイメージですよ」と付け加えたという(東京新聞2015/6/28朝刊2面)。ちなみにイメージだけで他人を批判することを、「レッテル貼り」という。
私も実は琉球新聞、沖縄タイムスはときどきWebでチェックするだけで、きちんとは読んでいなかった。その不明を恥じて、とりあえず「琉球新聞」の電子版をこれから1年有料購読することにした。言われなきバッシングにさらされているメディアがあれば、それを財政的に支援することも、市民のささやかな務めだと思うからだ。
2015/06/28の朝刊から、2つをアーカイブしておいた。
なお、「沖縄人のレイプのほうが米兵のレイプよりはるかに多い」など百田の発言については、琉球新報が逐一反論している。この放送作家のウソペテン体質もそうとう根深いと言わざるをえない。