小石川日乗Hatena版

おっさんがよしなしごとを書き散らします

チキンレース?

 私はよくサラダチキンをつくる。ヨーグルトとたまねぎすりおろしを揉み込んで、ラップとアルミホイルに包んで蒸し焼きするだけ。コンビニやスーパーに製品が並んでいるのは知っているが、自家製の方がよほど美味しいし、その都度スパイスを変えて味の変化を楽しめる。

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右上が自家製ヨーグルトサラダチキン
 ところで、「日経トレンディ」にこんな記事があった。

 ファミリーマートが2017年8月8日に発売した「RIZAP サラダチキンバー(以下、サラダチキンバー)」。近年、ジムなどで体を鍛えている男性の間で、サラダチキンをパックから出してバナナのようにそのままかじりつく食べ方が増えているのを受け、開発した商品だ。パーソナルトレーニングジムで知られるライザップの監修で、糖質を0gに抑え、食べやすいスティック状にした。

引用:サラダチキン戦争! 「そのまま」VS「参鶏湯」 - 日経トレンディネット

 ライザップとコラボなんて、コンビニがなんかすごいことになっている。

 ついでにこんな記事も。たしかに鶏むね肉って、昔はこんなに人気じゃなかった。

 昔からむね肉が好まれていた欧米と違い、つい最近まで日本ではジューシーなもも肉の人気が圧倒的に高かった。パサパサした食感のむね肉は敬遠され、売れ残りがちだったという。一羽の鶏にはほぼ同量のむね肉ともも肉がある。むね肉を売るための苦肉の策として生まれたのが、調理なしですぐ食べられるサラダチキンだった。

引用:サラダチキン“元祖”の開発秘話 皮を取って大ヒット  - 日経トレンディネット

モスキート・コースト

 19世紀前半、中米の新興国ポヤイス国への投資を煽った希代の詐欺師グレガー・マクレガーの話が、『世界をまどわせた地図』(日経ナショナル・ジオグラフィックス)という本に登場する。

 マクレガーはスコットランドの名家の出身で、戦争の英雄でもあった。現在のホンジュラスあたりに「ポヤイス国」という国があり、マクレガーはそこの「領主」という触れ込みだった。その肩書と巧みな弁舌に人々は魅了された。なんでもポヤイスでは、わずか11ポンドで100エーカーもの肥沃な土地が手に入る。川には砂金がごろごろ埋まっている。カネとコネ次第で政府高官への就任も可能だという。

http://nkbp.jp/2mxVZY9

 そのころ、欧州は不景気の中にあり、それを脱するために、投資家の間では中南米への投資が人気があった。ただ、まだ中南米は欧州から遠く、世界地図には欠陥があった。マクレガーが示すポヤイスの地図は不鮮明だったが、そういう国があってもおかしくはない程度には精巧にできていた。

 土地の譲渡委任状やポヤイス国の紙幣まで見せられると、ヨーロッパの銀行家から職人まで多くの人が、マクレガーの話を信じ込んだ。実際、入植のために船が仕立てられ、270人の移住者がポヤイス国があるあたりに渡った。もちろん、そこに待っていたのは、未開の密林とマラリアの発生源になりそうな沼地だけだった。

 マクレガーは人々を騙すために「モスキート・コースト国のジョージ・フレデリック・アウグストゥス王から授けられたという、まばゆいばかりのメダルと勲章」をぶらさげていたという。いつの時代にも人は金ぴかの勲章に弱い。

   と、そこまで読んで、驚いた。「モスキート・コーストだって? 」 そうか、そういうことなのか。

 アメリカの作家、ポール・セローはマクレガーとポヤイス国の詐欺話を知っていて、それで1982年に発表した小説のタイトルを「The Mosquito Coast」としたのだ。

 管理された資本主義を憎む発明家の男が、家族をつれて中米の密林に渡り、そこに理想郷を建設しようとして、挫折する話。

http://bit.ly/2mzsy86

 実は私は小説は読んでいない。ただ、1986年のピーター・ウィアー(Peter Weir)監督による映画化作品『モスキート・コースト』は見ている。夢想家の父親をハリソン・フォード、冷静な長男を、その4年後には亡くなってしまうリバー・フェニックスが演じた。たしか冒頭に父親が日本の工業製品を「ジャップ!」と叫んでぶち壊すシーンが登場する。日米貿易摩擦の頃の話なのだ。ようやく父の夢想から解放された一家が、筏に乗って静かに川を流れていく(ような)ラストシーンも覚えている。

 ウィアー作品はどれもいいものだ。75年の『ピクニックatハンギング・ロック』でその名を知った。第一次世界大戦のガリポリの戦いを描いた『誓い』はメル・ギブソン主演ということもあって、日本でもヒットした。『いまを生きる』『グリーン・カード』『トゥルーマン・ショー』もいい。『刑事ジョン・ブック/目撃者』は知られざるアーミッシュの生活を描き、ハリソン・フォードとケリー・マクギリスの名演もあって、私の人生映画100選にも選ばれている。2010年の『ウェイバック』以来は撮っていないのか、最近は名前を聞かないが。

「モスキート・コースト」という地名はもしかしたら実在するのかもしれないが、「モスキート・コースト国」や「ポヤイス国」という国家は、マクレガーの頃もセローやウィアーの頃も、いや世界史上にこれまで実在したことは一度もない。

 それらは見果てぬ夢と尽きぬ欲望を、そしてしたたかなペテンと裏切りを象徴する言葉なのだ。有象無象の輩がそれこそ無数のボウフラのように涌き、ヤブ蚊の大群で空は霞がかっている。偽史国家に惑わされる人類の社会的不幸というべきものの、それは言い換えともいえる。

若者の意識は保守化しているのか

「自民勝たせた若者の意識 「青春=反権力」幻想に」と題する毎日の記事。紹介されている大阪大の特任教授の調査データからは、2001年から12年間という短期間にも、高校生の意識が大きく変化していることがわかる。「これが40年前だったら……」などとカンブリア紀を振り返るような遠い目はしたくないが、もし1970年代の高校生に同じアンケートを取ったとすれば、半数は校則なんて関係ない、7割以上が太平洋戦争は間違っていた、6割ぐらいは日本文化以上に海外の文化に関心をもっていて、つまり棒グラフはまったく別の図を示していたことだろう。

 なんでこうまで変わるのか。記事でもさまざまな分析がされているが、これだというものがわからない。ただ、この変化に私は漠然とした恐ろしさを感じる。例えば大学の国際学部で海外比較文化論なんぞを担当する教授は、「日本の文化・伝統はほかの国よりも優れている」などとアプリオリに信仰する新入学生に対してどういう言葉をかけるのだろうか。

 高校生の意識の変化の背景には、もちろん論壇からテレビのワイドショーに至るまでの日本の政治・文化領域における右派の台頭があるだろう。テレビや新聞で「何度、謝れば済むんだ」と怒るオッサンとか、自己批判なき「日本すごい!」の、品性賤しき言葉の連発を見聞きしていれば、いかに愚鈍な若者でも、そんなもんだろうと思い込むに違いないからだ。私だって、高校・大学生のころは、西欧の社会モデルを理想として「やっぱりダメな日本」という日本批判の想念を頭に詰め込んでいた節があり、それは当時の、ネットもなく右翼メディアも今ほど隆盛ではなかった日本のオピニオン状況がたんに反映していただけかもしれないのだから。ついでにいえば、そうした観念を醸成するだけの社会的な騒乱の時代でもあった。

 ただ、こうした若い時の意識は、その後の社会体験、海外体験などを通して、少しは鍛えられた。いちおう少しの検証を経た後も、私のイデオロギーはけっして右派には転じず、かろうじて左派の一端に止まっている。それはそれでよいと今では思っている。

 若者の保守的・権威主義的・かつナショナリスティックな思想は、今後どのように変化するのだろうか。右派によるニッポン万歳三唱の怒号の前に、なんとなく糊が固まるようにそのまま原イデオロギーとして脳髄に固着してしまうのか、はたまた、何らかの現実的ショックを受けて、多少のギクシャクがあるのかどうか。いずれにしても若者の思想は自らによっていつかは検証され、反省され、さらにその上で発展しなければならないことだけはたしかだ。

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大阪大特任教授の友枝敏雄さん(社会学)の研究チームが、2001年から6年ごとに3回にわたり、福岡などの高校生延べ1万人超を対象に行った意識調査だ。グラフを見てほしい。例えば「校則を守るのは当然か」という質問に「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた生徒の合計が、68・3%(01年)▽75・4%(07年)▽87・9%(13年)と大幅に増加。さらに「日本の文化・伝統はほかの国よりも優れている」への賛意は、29・6%(01年)▽38・7%(07年)▽55・7%(13年)と年々伸び続けているのだ。

特集ワイド:自民勝たせた若者の意識 「青春=反権力」幻想に - 毎日新聞 https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171113/dde/012/010/012000c

心が寒くなるニュース

 最近はニュースを聞いても、うんざりというか、心が寒くなって、もう何も触れたくなくなるようなことが多くてねえ。アベとトランプの蜜月報道とかが典型だけれど。

 教育関連ニュースから3つ。

学校側は生徒の代理人弁護士に「たとえ金髪の外国人留学生でも規則で黒染めさせることになる」と説明している。 損賠訴訟:地毛茶髪、黒染め強要 高3提訴 心身に傷、不登校に 修学旅行、締め出し 大阪の府立高- 毎日新聞

 黒染め訴訟のニュースに関連して「地毛証明書提出」という制度というか戒律があることを初めて知った。 「都立高(全日制)の約6割が、髪の毛を染めたりパーマをかけたりしていないかを見極めるため、一部の生徒から入学時に「地毛証明書」を提出させているという内容でした。裏付けのために幼少期の写真を求める高校もあり……」 「地毛証明書」「無言給食」 学校のルールを考える:朝日新聞デジタル

https://www.bengo4.com/topics/img/6313_2_1.jpg?1494029387

 なんという馬鹿馬鹿しさ。無駄な努力。

 生徒に地毛証明書なら、教員には「自己分析支援チェックシート」か。

長野県教育委員会は9日、教職員らによるわいせつ行為が昨年度、続いたことを受け、自らの性的嗜好を確認する「自己分析支援チェックシート」を導入すると発表した。相談窓口も設置し、犯罪行為の防止を図る。 わいせつ行為防止:教職員に自己分析シート導入 長野- 毎日新聞         

 あれだけ疑念が残っているのに、開校ですか。これは一種のホラーだ。   

林芳正文部科学相は10日、諮問機関の大学設置・学校法人審議会(設置審)から学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設を認可するよう答申を受けたと発表した。答申は9日付。文科相は近く認可する方針で、来年4月の開学が可能になる。文科省は、設置審が審査過程で、計画に多くの是正意見を付け、抜本的改善を求めていたことも明らかにした。 加計学園:設置審、獣医学部の新設答申 文科相、近く認可- 毎日新聞   

 文字通り背筋が凍るのはこれだろうな。もはやホラー映画の世界を超えている。心のない殺人者。

神奈川県座間市のアパートから9人の遺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27)が被害者について、「3人目以降は顔も覚えていない。名前も(ツイッターの)ハンドルネームしか分からない」などと供述していることが捜査関係者への取材で分かった。 座間9遺体:「3人目以降、顔も覚えていない」容疑者供述- 毎日新聞

 先週、出張で山口県萩市に。萩は30年ほど前、一度、やはり出張で行ったことがある。そこで萩焼の湯飲みを買った記憶はあるのだが、街並みなどよく覚えていない。

 古い城下町のたたずまいを保存する美観地区。人々の生活の匂いはしないが、そぞろ歩きは面白かった。今回もひとつ、萩焼のご飯茶碗を買う。

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日本映画いくつかと期待の監督たち

『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』

(2007/吉田大八監督/佐藤江梨子/佐津川愛美/永瀬正敏/永作博美)

 吉田監督は『桐島、部活やめるってよ』でブレイク。宮沢りえの『紙の月』、菅野美穂の秀作『パーマネント野ばら』、堺雅人の『クヒオ大佐』もこの人。(★★★) f:id:taa-chan:20170906173400j:plain

『湯を沸かすほどの熱い愛』

(2016/中野量太監督/宮沢りえ/杉咲花/オダギリジョー/篠原ゆき子)

 今年度のアカデミー賞外国語映画賞の日本代表に選出。まだ若手の監督だが宮沢りえ、杉咲花の演技力を引き出した手腕はすごい。『チチを撮りに』という2012年の作品も見たい。(★★★★) f:id:taa-chan:20170906173338j:plain

『SCOOP!』

(2016/大根仁監督/福山雅治/二階堂ふみ/吉田羊/リリー・フランキー/滝藤賢一)

 想像以上に面白かった。(★★★★)  福山が風俗で女の子のおっぱいをモミモミするシーンなんか、これまでの福山ファンの乙女たちにはショッキングな映像かもしれないけれど、ここまでやって、ようやく福山の演技は一皮剥け、男優としての存在感もより濃厚ブラックになった感じがする。

 二階堂ふみはその自意識過剰なところがちょっと苦手だったが、ここでの演技はいい。

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 キネ旬の『キネマ旬報ベスト・テン90回全史1921-2016』をKindle本で購入。他に是枝裕和監督の『第三の殺人』がフューチャーされている、キネ旬の9月下旬号を紙で購入。

小石川「Regal」の騒々しい夜

レガール  9時過ぎに入るが、10時過ぎから混む。 綾子さんはお休み。以前からの女性と新人の女性。 f:id:taa-chan:20170818230953j:plain スズキのカルパッチョ。

 オレンジとバルサミコベースのソースが爽やか。

 カウンターの後ろにカップル。一人喋り続ける女。

 昔の女たちのことをおぼろげに思い出す。

 過去にあんなうるさい女はいなかったなあ。あんなに野卑な男言葉で話す女は。酔っ払うとおかしくなる女はいたけれど。

 それにしても、「高卒の私が大卒を同じ仕事をしているのになぜ給料が安いの」みたいな、ここで、いま男に訴えてもどうしようもない話を延々。聞かされる第三者の立場にもなってみよ。レストランは公共空間だぞ。 俺が入る前からいて、出た後もいた。

 延々喋っていた。あんまり騒々しいので、せっかくの夏グラタンの味がようわからんかった。

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畠山さんの牡蠣

f:id:taa-chan:20170814054128j:plain  北九州酔っ払い紀行を書くつもりだったが、モヤモヤしているうちにほとんど忘れてしまった。思い出したらまたの機会に。

 昨日はつくばねで唐桑の牡蠣をいただく。珍しく産地のラベルを表示している。見れば生産者に「畠山重篤」氏の名前が。「森は海の恋人」というNPOを率い、湾に注ぎ込む川の上流での植樹運動を行っている。森林に栄養があればこそ、いい牡蠣が育つという調査と信念からだ。この話は最近は小学校の教科書にも載っているのだという。たしかに美味しい牡蠣だった。一口嚙めば、口腔が芳醇な海味に包まれる。

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北九州酔っ払い紀行(1)

 先週末に九州で仕事があって、

  1. 東京→熊本→三角→熊本→博多(天神泊)
  2. 博多→小倉(泊)
  3. 小倉→門司港→小倉→博多→東京

 というコースを、週末出張+自腹延泊という、ときどきやる手法で旅してきた。

  • ・熊本→三角のJR九州観光列車
  • ・天神の居酒屋・バー
  • ・小倉の松本清張記念館
  • ・門司港のレトロ地区
  • ・門司区清滝の大型木造料亭建築

 あたりが面白かった。

「A列車で行こう」

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 JR九州の「D&S(デザイン&ストーリー)」シリーズと名づけられた観光列車の一つ。最近は全国の鉄道でこの手の列車が走るが、ま、JR九州は草分けだ。平日なので客は少なく、ほとんどが台湾からの観光客。インバウンドには貢献しているようだ。

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 車内で観光アナウンスを担当し、土産物やアルコールなども販売するアテンダントの女性たちの微笑みがいい。訓練のたまものというより、根っから人と話すが好きみたいな若いアテンダントと、熊本産夏みかん入りのカクテルを飲みながら、しばし会話。三角駅に到着するとわざわざホームまで降りてきて、キャンデーをお土産にくれた。

 三角駅は宇土半島の先端にあり、駅前の三角東港フェリーターミナルからは天草までの船が出ている。

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 今回は立ち寄れなかったが、駅から車で10分ほどのところに「三角西港(旧港)」がある。1889年(明治22年)に門司港などとともに特別輸出港に指定され、三池炭鉱の石炭積み出し港として賑わった。2015年、ユネスコの世界遺産リストに「明治日本の産業革命遺産」のエリア7「三池」の構成要素の一つとして指定されている。

 県下から東京・大阪へ送る米は全てこの三角港から積みだされ、問屋・廻漕店も繁盛し、遊郭もあり旅館も多くあり三角港は明治三大築港の一つとまで言われるまでになった。昭和中期までは熊本県の主要港として栄えたが、天草五橋の開通による旅客輸送量の減少や八代港の開港指定による貨物取扱い量の減少、1993年(平成5年)3月の熊本新港開港などにより、現在は往時の存在感はない。(Wikipedia)

 という記述は後から触れる門司港の歴史と一部重なる。ちなみに「明治三大築港」のあと二つとは、野蒜港(宮城県東松島市)と三国港(福井県坂井市)のことだ。野蒜港には行ったことがある。明治の港湾建築は築港直後の台風で崩壊、今はその遺構らしきものが残るのみだったが……。

 三角駅から熊本へ戻る列車の待ち時間が1時間ほどあったので、最初から世界遺産巡りを考えていれば、西港までタクシー飛ばして行ったんだけれど、実はそんな大仰なものに指定されていることを知らんかったのだ。

 ただ、駅前の土産物屋の店主がいい人で、三角の歴史を詳しく語ってくれた。また来る機会があるかどうかわからないが、もし熊本・天草方面に来ることがあったら、三角西港にもぜひ足を延ばしてみたい。

きょうの朝ご飯「むき海老と茄子の生姜あんかけ」など

 このところ暑かったこともあり、ちゃんとした料理を作っていなかった。日曜から泊まりがけの北陸出張なので、料理できるのは土曜日だけ。

 というわけで、未明に起き出し、24時間スーパーに買い物に行って、しこしこ朝ご飯づくり。枝豆入りだし巻き卵はうまく巻けずにぐちゃぐちゃになってしまった。それ以外は大変美味しくできました。全体に夏っぽいお献立。「きょうの料理」8月号を参照。

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下右から:枝豆と鶏ひき肉のだし巻き卵/豆腐とおくらの味噌汁/むき海老と茄子の生姜あんかけ/十穀米ご飯/ゆで鶏とレタスにお手製ソース

「むき海老と茄子」は大原千鶴先生のレシピだが、海老は冷凍ものを解凍して使った。それでも出汁と揚げ茄子の食味とうまく調和したと思う。我ながらなかなかいい出来だったので、アップの写真もご覧あれ。

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WoWoW放映8月の関心作(WoWoW初出映画から)

 例によって映画の解説文はWoWoWサイトからの全面的なパクリです。すいません。

みんなのアムステルダム国立美術館へ

8/7(月)よる7:00

 数々の至宝を所蔵し、オランダが世界に誇るアムステルダム国立美術館。10年にも及ぶ珍騒動を経てようやく再オープンした同館の改修工事の顛末を描くドキュメンタリー。

 レンブラントやフェルメールら、オランダ絵画の名匠による傑作をはじめ、数々の至宝を所蔵するアムステルダム国立美術館。200年もの歴史を持つ同館は、2004年に全面的な改修工事が始められたものの、その設計案をめぐって市民や館長、建築家らの意見が紛糾し、計画変更と工事の中断が相次ぐ異例の事態に。2008年発表の「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」で、そのゴタゴタ騒ぎの渦中を描いたO・ホーヘンダイク監督が、本作では2013年、ようやく無事、同館が再オープンするまでを見届ける。

生きうつしのプリマ

8/8(火)よる7:00

 亡き母にうり二つのオペラ歌手の存在を知り、調査の旅に出たヒロインが探り当てた家族の過去とは? 「ハンナ・アーレント」のM・フォン・トロッタ監督による家族ドラマ。

 前作「ハンナ・アーレント」では20世紀を代表する女性哲学者の鮮烈な生きざまを実話にもとづいて描き、高い評価を得たフォン・トロッタ監督が、本作では家族にまつわる半自伝的な物語をミステリー仕立てで映画化。前作にも主演したB・スコヴァ、そして「もうひとりの女」のK・リーマンという、同監督の作品の常連役者である2人の実力派女優をW主演に起用。女優であると同時に、実際に歌手としても活躍するこの2人が、軽妙かつ味わい深い演技と歌声を披露し、何とも不思議でユニークな家族ドラマに仕上がった。

ミモザの島に消えた母

8/9(水)よる7:00

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 30年前に亡くなった母親の死に隠された意外な秘密とは? 「サラの鍵」の原作者T・ド・ロネのベストセラー小説を、L・ラフィットの主演で映画化したミステリードラマ。

 子どもの時に母親を亡くし、その喪失感からなお立ち直れずにいる主人公が、30年の歳月を経て母の死の真相解明に乗り出し、ついに探り当てた意外な真相とは? クリスティン・スコット・トーマス主演の映画「サラの鍵」の原作者として知られるフランスの女性作家ド・ロネが2009年に発表し、本国やアメリカでベストセラーとなった小説を、これが長編監督3作目となるF・ファヴラが、物語の舞台となる風景明媚な島の魅力も活用しながらムード満点に映画化。共演は「イングロリアス・バスターズ」のM・ロラン。

盗聴者

8/10(木)よる9:00|8/23(水)午後4:15

「最強のふたり」に主演したフランスの人気男優にして実力派のF・クリュゼ。彼が、秘密組織が盗聴した音声を文字起こしする孤独な男性をリアルに演じた異色のサスペンス。

 主人公は真面目かつ几帳面なために失業した男性。突然、新たな仕事が舞い込むが、それは謎の組織が盗聴した音声を文字起こしするもの。会話音声などをカセットテープで聴き、旧式のタイプライターで文字に起こしていくなど、ディテールが豊かでリアルだ。そんな作業を淡々とこなしながら、倫理的に悩む主人公役をクリュゼは的確に巧演。1980年代からフランスで活躍し、世界的に大ヒットした「最強のふたり」で知られるベテランのクリュゼだが、本作でも幅広い表現力を発揮した。WOWOWの放送が日本初公開。

ヴィジット

8/11(金・祝)よる9:00|8/21(月)午後1:30

 初めて出会う祖父母と楽しい休暇を過ごすべく、人里離れた母親の実家へ訪問旅行に出掛けた姉弟を待ち受ける恐怖を、M・ナイト・シャマラン監督が鮮烈に描く衝撃のホラー。

 「シックス・センス」や「サイン」などで映画ファンをあっと言わせて一世を風靡し、天才ストーリーテラーの名をほしいままにした鬼才シャマラン監督。今回、久々にオリジナル脚本をもとに、超低予算&ノースターながらもスリラー映画という自らの原点に回帰した同監督が、彼お得意のひねった話術と巧妙な仕掛けを凝らしてその本領を存分に発揮。手軽なハンディカメラによる主観映像を主体に、ハラハラドキドキ感満点のサスペンス劇を巧みに構築して、全米でみごとスマッシュヒットを記録し、完全復活を果たした。

日本のいちばん長い夏

8/13(日)午前11:00

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 第2次世界大戦の終戦から18年後の1963年、政治家や官僚、元軍人らが一堂に集って行なわれた歴史的座談会の様子を、豪華多彩な顔ぶれで再現した異色のドキュドラマ。

 1963年、雑誌「文藝春秋」の主催で、著名な政治家や官僚、元軍人ら、計28人が出席して1945年の終戦間際の長い夏を各自の視点で振り返る、画期的な座談会が実現。その採録は「日本のいちばん長い日」の題で同誌に掲載されて大きな反響を呼び、書籍版の刊行を経て映画化もされることに(1967年。2015年には再映画化)。この歴史的座談会の様子を、本作では現代の日本の各界を代表する著名人たちを起用して文士劇のスタイルで再現するほか、重層的な形式が試みられ、異色のドキュドラマに仕上がった。

淵に立つ

8/13(日)よる9:00|8/24(木)午後3:45

 崩壊した家族に、光は射すのか―。第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞ほか、国内外で数々の映画賞に輝いた、注目の新鋭・深田晃司監督が放つ衝撃の話題作。

 「ほとりの朔子」や「さようなら」などで、現代日本映画界きっての俊英として国際的に注目と期待を集める深田晃司監督。本作では、前科持ちのどこか謎めいた男の出現により、とある家族の運命が急旋回していくさまを、同監督が峻厳なタッチで描写。家族を翻弄する謎めいた男を、「岸辺の旅」の浅野忠信が圧倒的な存在感で演じるほか、古舘寛治、筒井真理子らが各自、息詰まる力演を披露。第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞に輝いたのをはじめ、日本国内でも数々の映画賞に輝き、絶賛を博した。

ほとりの朔子

8/13(日)よる11:15

 叔母に誘われ、海辺の避暑地で休暇を過ごすことになった18歳のヒロインのひと夏の体験を、「淵に立つ」の深田晃司監督ラ人気女優・二階堂ふみの顔合わせで綴った魅惑作。

 「歓待」で第23回東京国際映画祭日本映画・ある視点部門作品賞に輝いた深田晃司監督と、「ヒミ ズ」で第68回ヴェネチア国際映画祭の新人俳優賞を染谷将太と並んで受賞した二階堂ふみ。当時、ともに日本映画界の次代を担う期待の星として注目を集め、伸び盛りにあった2人が、初のタッグを組み、どこかエリック・ロメール監督の作品を思わせる、爽やかでみずみずしい青春映画がここに誕生。フランスのナント三大陸映画祭でグランプリに当たる「金の気球賞」と「若い審査員賞」をW受賞し、さらなる脚光を浴びた。

ニュースの真相

8/20(日)よる9:00|8/23(水)よる7:50

 米国で実際に起きたスクープ報道をめぐる一大騒動を通して、真実とは何か、ニュースの本質とは何かを鋭く世に問いかける、今こそ見るべきC・ブランシェット主演の注目作。

 2004年、米国の看板報道番組が、当時現職のジョージ・W・ブッシュ大統領に軍歴詐称の疑いありというスクープを報道。しかし、それを裏付ける証拠が偽造されたものであるとの疑いが浮上し、肝心のことの本質は問われないまま、番組キャスターの降板という形で事態は決着することに。その顛末を、実話をもとに映画化した本作の原題はずばり「TRUTH(=真実)」。いまやトランプ大統領の治世となり、「ポスト・トゥルースの時代」という言葉が世界中の人々に実感される今日だからこそ、必見の注目作となった。

コロニア

8/22(火)よる9:00

 軍事独裁政権下の南米チリを舞台に、極秘の拷問施設に収容された恋人を救出すべく、そこへ潜入した女性の運命を、人気女優E・ワトソンの主演で綴った息詰まるサスペンス。

  1973年、南米の国チリで軍事クーデターが起き、独裁政権が誕生。反体制分子として捕らえられた恋人が、極秘の拷問施設“コロニア”に収容・監禁されたと知り、彼を救出すべく、“コロニア”への潜入を決意するヒロインを、「ハリー・ポッター」シリーズや「美女と野獣(2017)」で知られる人気女優、ワトソンが体当たりで熱演。驚愕の史実をもとに、緊迫のドラマを生み出したのは、アカデミー短編実写映画賞の受賞歴を誇るドイツの俊英、F・ガレンベルガー監督。共演は、D・ブリュールとM・ニクヴィスト。

バーン・カントリー

8/24(木)よる9:00

 アフガニスタンから米国に亡命した元戦場記者が、田舎町である殺人事件の謎を調べるうち、町に隠されたタブーに触れていって……。不思議な味わいがある社会派ミステリー。

「127時間」で第83回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされたJ・フランコ、「ザ・ファイター」で同年度アカデミー賞の助演女優賞を受賞したM・レオ、イラン出身の中東系男優D・レインズなど多彩な顔ぶれが集まったインディーズ映画の意欲作。アフガニスタンから米国に亡命した元戦場記者が主人公なのもユニークだが、発生する殺人事件の真相究明の流れもオフビート。テイストが似ているのは「ウィンターズ・ボーン」だろうか。まずは独自の余韻が鮮烈な印象を残す1本だ。WOWOWの放送が日本初公開。

二重生活(2016)

8/27(日)よる10:00

 長谷川博己が変幻自在の演技で、門脇麦と演技合戦を繰り広げるミステリードラマ。論文を書くため、理由なき尾行を始めた女子大学院生が、いつしかそれにのめり込んでいく。    小池真理子の同名小説を、NHKで放送された「開拓者たち」「ラジオ」を手掛けた岸義幸監督が、脚本と編集も兼任して映画化。門脇演じる女子大学院生の珠が、長谷川演じる編集者の石坂の尾行を始めてからの展開がスリリングで、まるでアルフレッド・ヒッチコック監督の「裏窓」など、優れたサスペンスを見ているような感覚を味わえる。ある秘密が終盤で明らかになる仕掛けなど、随所に施された凝った演出も見ものだ。珠を尾行という行為に誘う大学教授・篠原役を扮したリリー・フランキーの存在感もすばらしい。

ミス・シェパードをお手本に

8/28(月)よる9:00

 路上に止めたオンボロ車の中で自由気ままに暮らすなんとも風変わりな老婦人の姿を、イギリスきっての大女優M・スミスの主演で愉快に描いたハートウオーミングな人情喜劇。

 イギリスのロンドンを舞台に、路上に止めたオンボロ車の中で寝泊まりするホームレスの老女、ミス・シェパード。そのなんとも自由奔放でわがままで、でも憎めないチャーミングな姿を、なぜか彼女と腐れ縁の不思議な交友関係を結ぶことになった劇作家A・ベネットの実体験をもとに、ユーモラスに綴った魅惑の感動作。先に舞台化され、そこでも主演を務めたスミスとA・ジェニングスが、軽妙な掛け合い芝居を披露。とりわけ、「ハリー・ポッター」シリーズなどでも知られる大女優スミスの偏屈ばあさんぶりは絶品で最高!

ジョイ

8/29(火)よる9:00

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 平凡なシングルマザーが、自分が発明した新型モップで人生を変えようと挑むが……。「世界にひとつのプレイブック」でアカデミー賞の主演女優賞に輝くJ・ローレンス主演。

 現在のハリウッドを代表する若手女優ローレンスが、オスカー受賞作「世界にひとつのプレイブック」や「アメリカン・ハッスル」でも組んだD・O・ラッセル監督や、これらの作品での共演陣、R・デ・ニーロ、B・クーパーらとまたもタッグを結成。第88回アカデミー賞でローレンスが主演女優賞にノミネートされながら日本では惜しくも劇場未公開に終わった知られざる秀作だ。実話に基づき、自分が発明した新型モップを全米TV界の通販専門チャンネルで売ろうと奮闘するシングルマザー役をローレンスは魅力的に好演。

ダニエラ 17歳の本能

8/31(木)よる11:00

 厳格なキリスト教徒の家に生まれ育った17歳の好奇心旺盛な少女が、親の監視の目を盗んで奔放な性体験に身を委ねていくさまを軽妙に綴った、南米チリ製の青春官能映画。

 厳格なキリスト教徒の家庭に生まれ育ったものの、折しも思春期を迎え、セックスに対する好奇心をどうにも抑えきれない17歳の少女ダニエラ。そんな彼女が、親の監視の目を逃れてブログに自分の想いを赤裸々に書き綴り、自由奔放な性の冒険に乗り出していくさまを、南米チリの女性監督M・リバスが軽妙なタッチで魅力的に活写。サンダンス映画祭やサンセバスチャン国際映画祭などでも上映されて受賞を果たし、好評を博した。

日本列島は「奇跡の島」なんだそうだ

www6.nhk.or.jp

「日本列島は奇跡の島」とか「世界でも類を見ない変化に富んだ地形」とか……昨日のNHKスペシャルをちら見していて、こっち方面にも「日本スゴイ!!!」の自慰的プロパカンダが浸透してきたのかとゲンナリしていたら、やっぱり、このジャンルでは名うてのウォッチャーである、早川タダノリ氏がTwitterに投稿していた。

 番組司会とナレーションは、和久田麻由子アナ。この人、好かんな、ワシは。優等生の全方位的な微笑。何かに驚いたふうの身振りもいかにもわざとらしい。実際に会えば印象も変わるかもしれないけどさ……。

 ワシの好みは、「きょうの料理」の柘植恵水アナとか、和久田と同じ東大卒でも「家族に乾杯」の小野文惠アナとかだな。オバサンばかりだけれど、そちらのほうが安心して見ていられる。若い子では「ブラタモリ」の近江友里恵アナ。天然系のボケ味が絶妙だ。やはり、NHKアナはたんなる知性派美人だけではだめで、どこかに庶民的な味を残しておいてくれないとね。

 それはともあれ、日本列島だけが奇跡なわけがあるまい。すべての地球の自然現象が一種の奇跡なんじゃないかと、ワシなどは思うのだけれど。

 そもそも今回のシリーズは、2010年放送のNスペ「日本列島 奇跡の大自然」シリーズの焼き直しというか、それを引き継いだ「地学版」ということになるのだろう。NHKは民放ほどではないにしても「奇跡」が大好きで、「体感!グレートネイチャー」では、「巨大テーブルクロスと奇跡の花園~南アフリカ・ケープ半島~」「奇跡のビッグウェーブを追え~アメリカ・ハワイ~」「地球最古の大地に奇跡の花園~北極圏バフィン島の夏~」など、「奇跡」を世界中から集めている。これまでは世界視野だったが、これからは日本にクローズアップ、というわけか。

 それにしても、こんだけ「奇跡」を安売りされるとねえ。

地の果ての奇祭

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『ハイン 地の果ての祭典』(アン・チャップマン著)

 新評論から送られてくる新刊案内で、奇妙な衣裳の人物が立つ表紙の本に目を惹かれた。「南米フエゴ諸島先住民セルクナムの生と死」と副題にある。「この秘密は、我々の最後の者が墓まで持っていかねばならない」と、おどろおどろしい惹句が踊る。

 ネットにも、この本について、あるいはセルクナムの奇祭についてはいくらか情報があった。全国紙の書評に採り上げられたらしく、少し話題になっている。欲しいのだが、人類学の専門書でもあるので、少々価格がはる。近所の図書館の蔵書リストにはあったが予約殺到で、たぶん順番が回ってくるのは半年後になるだろう。

 しかし写真からさまざまなことを想像するだけでも、楽しい。未開の世界には憧れがある。いや未開ではなく、これは優劣を超えた、我々の次元とは異なる文化圏というべきだろう。世界はまだまだ、こんなにも広いのだ。

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