小石川日乗Hatena版

おっさんがよしなしごとを書き散らします

「人生は夕方から楽しくなる」金田一秀穂

人生は夕方から楽しくなる:国語学者 金田一秀穂さん - 毎日新聞

 インタビューのシリーズタイトルだけれど、いい言葉だな。

 ワタシ流に解釈すれば、「人生は夕方から飲みに行けるから楽しい」となるんだけれど(笑)。

 63歳の「高等遊民」、金田一先生。

立ち返るべき精神は「温故知新」という。「皆さん、古典を読んだらいい。年を取るとその良さが素直に分かる。古典を学ぶ最大の目的は、昔の人も今と同じようなことを考えていたと知ることだと思うんです」。だが、若者にはその面白さが伝わりづらい。古典と若者をつなぐ教材に挙げるのが、古今和歌集にある小野小町の和歌だ。

 <思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを>

 この恋歌、夢を通じて少年と少女が出会う新海誠監督のヒット映画「君の名は。」のモチーフになった。

 古今和歌集とヒットアニメの接点。金田一氏が「君の名は。」を参照したのか、記者の視点でつけくわえたのか、記事からはよくわからないが、いずれにしてもこうした古いものと新しいものを「接続」する視点は知的だ。

 文化的伝統は共同体にとって貴重な資源である。ところが近年は保守政治家が「文化学芸員」の仕事を悪性腫瘍扱いしたり、当の学芸を守るべき図書館員が著名な知識人から寄贈された蔵書をいとも簡単に廃棄したり、まるで「図書館戦争」みたいな状態になっている。

 そうでなくともいまどきの保守主義者らは、共同体を野放図な資本の力で徹底的に破壊しつつ、たかだか150年の過去を伝統と言い募っては、それを起点にして現代の「復古革命」を果たそうとする。本当の保守というのは、伝統に学びながら現代の意義を豊かにする態度のことだ。復古と保守は全然違うんだよ。

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