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出版、返品4割の重荷:日本経済新聞

⇒ (真相深層)出版、返品4割の重荷 取次の経営危機、「制度疲労」浮き彫り ネット巻き込み流通改革 :日本経済新聞:

 出版科学研究所(東京・新宿)によると2014年の出版物の推定販売額は1兆6千億円でピークの1996年から約1兆円も減った。期待のかかる電子出版市場はまだ1400億円程度。KADOKAWA(角川)の角川歴彦会長は「20年近くも続く縮小傾向で生まれたひずみは大きい」と指摘する。

 出版流通の制度疲労の原因は読者の「本離れ」だけではなく、流通制度にもあるとの指摘も出ている。原則として書店は一定期間売れなかった本を取次経由で出版社へ返品できる。この仕組みによって書店は在庫リスクを減らし、多彩な書籍や雑誌を店頭に置ける。

 一方で書籍を返品する際の梱包や物流の費用は、書店と取次の負担となる。返品が増えると経費も増え書店や取次の収益を圧迫する。栗田の経営不振の一因もここにある。出版社にとっても返品は買い戻し負担と過剰在庫に直結する。14年には稼ぎ頭の雑誌の返品率が初めて40%に達した。

 一部の出版社は書店の利益を増やし、売り切る努力を求める「責任販売制」に取り組むが、販売力で劣る中小書店などには重荷になりかねない。

日本経済新聞 2015年8月12日

 本が売れないというわりには、出版点数は増えているはず。ただ、その多くが駄本なのだが。リアル書店が次々に潰れていくのであるから、旧来の取次が経営不振に陥るのは当然のこと。

 一方、電子出版市場の伸び悩みというが、紙の本を買わない人が電子出版だから買うということはありえない。シュリンクするマーケットを電子がカバーできるはずもない。

 むろん、紙本、電子本はそれぞれに利点・難点があり、使い分ければいいだけだ。私も最近は新書版などは電子書籍が併売されているのであれば、そちらを選択するようになった。ただ、肌ざわりと読書の楽しみについてばかりは、電子は紙に未来永劫かなわない。

 やがて書籍流通はAmazon楽天などのeコマース企業と大手印刷会社が完全に牛耳るようになるだろう。さらに図書館の危機も深刻化するだろう。TSUTAYAが運営すると図書館にTSUTAYAの在庫が押しつけられる、という恐るべき近未来もすでに語られている。

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