小石川日乗Hatena版

おっさんがよしなしごとを書き散らします

映画『野火』塚本晋也監督

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 「『戦争はよくない』が当たり前だった世の中が移行し、(表現を規制するような)法律ができて、引っかかっちゃうんじゃないか、自粛しないといけないんじゃないかという雰囲気が醸し出されるようになった」ことに加え、東日本大震災も背中を押した。「(原発事故で)放射能が危ないのか危なくないのか情報が得られないままにフラフラと帰宅する姿が、(『野火』で)命令がどこから出ているかわからないままに原野をさまようイメージと重なった」


 戦場のヒロイズムを描く作品に人気が集まる現状に異を唱える意図もあったようで、「(そういう作品は)幻想としての『甘美な死』があるだけで、肉体の死を描かない。肉が異様な裂け方をしたり、飢餓状態で骨と皮になるのが本物の死。それを前提に考えないと…。そんな夢のような物語じゃない」

東京新聞 2015年7月23日 朝刊

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